訪問美容に必要なスキルや知識、課題を一緒に考える場「未来会議」を開催

美容業界が抱える、「女性の休眠美容師」と、「美容室に行きたくても行けない高齢者」という2つの課題。どちらも根深いものだが、柏村氏は「2つの課題を結びつけ、解決する方法がある」と語る。それが「訪問美容の普及」だ。

「訪問美容とは、美容師が家や介護施設などに訪問してサービスを行うこと。訪問美容がもっと活性化すれば、在宅介護を受けている高齢者が美容師に髪を切ってもらえる機会が増えます。また、女性美容師にとっては『子どもを保育園に預けている時間だけ訪問美容をする』など、働き方も多様化するはず。それにより、女性美容師の職場復帰に繋がる可能性があると考えています」

訪問美容というサービス形態は、昔からあったものだ。現在も、訪問美容を行っているサロンやNPOはある。とはいえ、数自体は決して多くない。その中で、訪問美容を普及・活性化させるには「いくつも課題がある」と柏村氏は言う。

「訪問美容は昔からありますが、それを知らない業界の人は少なくありません。また、足腰の弱ったお年寄りに対しては、美容とは異なる介護面のスキルや知識が必要になってきます。たとえば、骨粗しょう症の方などは、長時間同じ姿勢で座っていることが難しく、短時間で髪を切ってもらうことが求められます。また、認知症の方への接し方も特別なものになってきます。そういった訪問美容特有とも言えるこうした知識についても、浸透を図っていく必要があるのです」

リクルートでは、サロン経営者や美容師向けに「ホットペッパービューティーアカデミー」という経営支援スクールを開いているが、加えて、10年後、20年後の美容業界を見据え、将来において起こりうる課題や兆しについて、業界の人と話し合うイベント「未来会議」を行っている。柏村氏は、今年、そのテーマのひとつを「訪問美容」に設定し、イベントを実施した。実際に訪問美容を行っているヘアサロンや、NPO法人全国福祉理美容師養成協会の方を招きパネルディスカッションを行ったり、参加者同士で訪問美容というテーマについて話し合ったりすることで、訪問美容に対する知識や理解を深めてもらう機会とした。

「訪問美容を普及させる一つには、様々な働き方や価値観を持ったロールモデルを紹介して“型”を作っていくことが必須。今後は、訪問美容で成功しているサロンを1日取材して、作業の流れを他のサロン経営者に広めることなども考えています。また、訪問美容特有のスキルを、ホットペッパービューティーアカデミーの講座で教えていきたいですね」