石油元売り2位の出光興産と5位の昭和シェル石油は7月末、経営統合の協議入りを発表した。統合の立役者が、昭和シェルの亀岡剛社長兼最高経営責任者(CEO)だ。

昭和シェル石油社長 亀岡 剛(AFLO=写真)

昨年12月、出光による昭和シェル買収の動きが表面化するも、その後両社の交渉は停滞。昭和シェルの特約店から「出光の子会社になるのか」との反発が強まったことが響いた。3月には出光と交渉していた昭和シェルの香藤繁常会長兼CEOが退任、「協議中ならトップは代わらない。あの買収話は流れた」(大手証券)との観測も強まる。6月には3位の東燃ゼネラル石油が昭和シェルとの経営統合に名乗りを上げたが、亀岡氏が最終的に選んだのは出光だった。

国内の石油需要は2000年度をピークに、13年度は1億9352万キロリットルまで減少。亀岡氏は販売部門の経験が長く、需要減に苦しむ特約店の状況を見てきた。統合会見でも「特約店には子会社になることは絶対にないと説明してきた。対等な立場で統合を目指す」と強調している。

今後、出光は昭和シェルの親会社、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから33.3%の株式を取得し、両社は経営統合を目指す。10年に元売り2社の統合で誕生した首位のJXホールディングスは、「JOMO」ブランドをやめて「ENEOS」に統一したり、北海道の製油所を閉鎖したりすることで統合効果を生み出してきた。今回の発表で石油業界は二強時代に入った。亀岡氏が出光と組んで、どれだけ思い切った施策を打ち、首位のJXに肉薄できるかが注目される。

昭和シェル石油社長 亀岡 剛(かめおか・つよし)
1956年生まれ。関西学院大卒。79年シェル石油(現昭和シェル石油)入社。常務執行役員、執行役員石油事業最高執行責任者(COO)などを経て2015年3月社長兼CEO。
(AFLO=写真)
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