親の介護費用が足りなくなったら

親が要介護状態になったとしても、介護は必ずいつか終わります。ですから、今は大変かもしれないけど、できるときにやっておきたいと思っているんです。母への経済的援助については、とくにしていません。母は、60歳まで看護師として働いていました。だから公的年金は、父より多かったくらいです。

現在の経済的負担は、帰省の際の交通費くらいでしょうか。父が亡くなる直前から年4~5回くらい帰省しています。ただし北海道なので、結構かかるんですよ。安いチケットでも往復3万円くらいかな。高いと倍くらいかかります。帰省するときは一人ですね。だいたい3泊4日くらい滞在します。

もし将来、母の介護費用が足りなくなったら、きょうだいで負担し合うつもりです。もしくは、実家が市の中心地にあって、周辺は店舗や事務所などが多い地域なので、売却すれば、それも充当できるでしょう。

親と離れていて最も負担に感じるのは、心や体の調子がわからないこと。担当のケアマネジャーと直接連絡を取り合って、介護状況などをきちんと説明してもらえるのが心強いですが、毎日母に電話をしていても、顔色などはわかりません。本人も、自分の状態がどうなのかうまく言えないみたいです。平気で朝食や昼食を食べなかったりしています。

この間も、風邪を引いたときに1人でいるのが不安でしかたないらしいんです。だから今、どこか、母の年金でまかなえる程度の高齢者施設に入所できないか、パンフレットや資料などを集めて探しているところです。同居については、父の生存中に、「長男のところへ同居しないのか」と、母に尋ねたことはあります。でも「絶対イヤだ」って。その辺りははっきりしていますね。

逆に、私が「こっち(北海道)に戻ってこい」ってずっと言われていました。きょうだいの中で、持ち家がないのは私だけ。自由業ですし、私たち夫婦には、子どももいませんので、自分たち自身の老後のことも考えたりします。

でも、お恥ずかしい話ですが、運転免許証を持っていないんです。地元で車の運転ができないのはねえ、ちょっと厳しいですよ。それも実家に帰らない理由の1つかな(苦笑)。

◆お金のプロからアドバイス

「同時多発介護」は“夫の親を優先。妻の親は後回し”などは禁物! 対処法によってはトラブルの元となる。要介護度や利用できる地域資源、協力者などの状況を見ながら、どちらの親であっても気持ちは主体的に関わりあっていくことが肝心だ。

※本連載は書籍『50代からのお金のはなし』(黒田尚子著)からの抜粋です。

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