神輿の担ぎ手にワクワクする

【窪田】自分の一生という限られた時間を何かに費やそうと思ったときに、自分が心の底から共鳴できる普遍的な価値観を持つことは重要ですよね。それが大きければ大きいほど、より多くの人が共鳴できるものであるほど、多様性を持った人が参画してくれて、その多様性が組織の強みにつながる。そして苦難を乗り越える適応力が高まる。

それを考えて、私は、言語、宗教、人種を超えて共鳴できる価値観っていうものを尊重してきました。松崎さんは、この辺りをどう考えていらっしゃいますか。

【松崎】そうですね。われわれの場合はお給料で縛れる関係性だけではないですよね。非営利なので、ボランティアで参加してくださる方もたくさんいらっしゃいます。やっぱり大きな傘を広げるというのは窪田さんと同じ部分かと思います。それを体現できる事業ラインアップがちゃんとあるということが説得力にもつながるのかなと思います。

その傘自体に入っていくこと、もしかしたらお神輿なのかもしれませんが、そのお神輿の担ぎ手になることがワクワクする。この気持ちがすごく大事だと思います。

【窪田】ワクワク感もそうですし、プライドを持てることをやれるっていう感覚を、みんなに持ってもらえるビジョンを掲げるというのは非常に重要ですよね。

【松崎】ボランティアさんも、ブラインドサッカーを手伝っていること自体を誰かに話したくなるとか。こういう気持ちを持ってもらえるって大事です。

実は、僕がファウンダーでも初代事務局長でもなかったことが、ひとつの悩みだった時期があったんです。思い入れはあって、こうありたいという姿も持っていたんですけど、なかなかそれを理解してもらえなくて、「君が事業のことだけを語っても、それが何のためになるのか」と言われたこともありました。いわゆる、錦の御旗がしっかりしてなかったんです。ビジョンがなかった。だから僕が事務局長になって最初にやったことが、ビジョンづくりでした。

それを、2代目事務局長の僕が勝手につくりましたって言っても誰もついてきてくれないので、ボトムアップでつくったんですね。最終的には僕の思いが強く反映されたものになりましたけど、みんなの意見を聞いて、みんなを巻き込んで、方向性がひとつにまとまりました。

こんなビジョンはだめだという反発が出てくることはありました。ビジョンを語り合い浸透させるための1泊2日の合宿をするなどして、コアな人たちがこのビジョンを把握し、それぞれの事業がこのビジョンのうえに成り立っているんだということを理解してもらいました。その結果として組織をより強化することにつながりました。

【窪田】新しいことをやれば軋轢はありますし、全員が100%賛同するというのはほぼありえません。その中で松崎さんはぶれずに進まれている。それが結果的にブラインドサッカーを事業団体としてもスポーツ団体としても大きく成長させている。結果がついてくると成功のパターンとしても証明されるわけですよ。

もちろんそこに先人がいて、別のビジョンをかかげ、別の方向性を目指し、別の結果を導いていたとしたら、また別の道があったかもしれません。でも松崎さんが抱いていたビジョンはほかの人が考えるものとは違ったし、それをやってのけた人もいなかった。