何が正しい努力なのか

2015年最初のコラムは、私の座右の銘について書きたいと思います。実のところ、いろいろな方に聞かれるようになるまで、座右の銘を考えることはありませんでした。しかし、自分が貫いてきたことといえば「Never give up!」の一言につきます。これはゆらぐことのない私の姿勢でもあり、座右の銘と言えるでしょう。新しい年を迎えた今だからこそ、今一度「Never give up!」についてお話ししたいと思います。

前回の対談(http://president.jp/articles/-/13974)でご登場いただいた川端英子先生と出会った頃に、私の「Never give up!」の精神に磨きがかかったように思います。たとえ周りよりも出来が悪かろうと彼らの何倍も努力をすれば壁を乗り越えられるということを経験から学んだものです。自分なりの考えのもとに目標を立て、そこにむかって努力を続けることそのものを楽しめる持ち前の性格も、困難を乗り越えてこられた秘訣なのかもしれません。

成功は正しい努力の先にあるという話をすると、「正しい努力って何ですか?」と聞かれます。努力が正しいかどうかを知るにはどうすればいいのでしょうか。

こうすればこのような結果が得られるのではないかという仮説と、それを確かめる検証を何度も繰り返して続けること。これが解のひとつです。

もちろん、正しい努力をすれば必ず成功がやってくるというわけではありません。失敗をすることもあります。ただ、努力のあとの失敗は価値ある失敗です。失敗か成功かは、特定の側面において、ある時点でくだされる判断に過ぎないということを忘れてはいけません。失敗の中には必ず成功のヒントが隠れていますから、仮説と検証を続けて地道に結果を追い求めることが大切なのです。

創業から12年、アキュセラでは目の難病を治療する新薬候補の開発に力を尽くす日々が続いています。この新薬候補も仮説を立てて検証する作業を繰り返した末に発見できた化合物にほかなりません。

拙書「極めるひとほどあきっぽい」のプロローグにも書いていますが、私はいつ何がおこってもおかしくないような大航海を乗り切れる強いチームに恵まれてきました。一人でも多くの患者を失明から守りたいという私のビジョンに賛同してくれた社員たちです。この1年もチーム一丸となって、フェーズ2b/3に入っている臨床試験を「Never give up!」の心得で順調に進めたい。