フェイスブックの活用で最も成功している企業といわれるスターバックスコーヒーの場合、フェイスブックページは完全にコミュニティの場になっている。そこは、同社のコーヒーを愛する人々が集い、情報交換、意見交換をしあって楽しく盛り上がる憩いの場なのだ。宣伝ツールとして、企業側からの売らんかなの態度は微塵もない。

「フェイスブックは守りで使うことが重要です」と熊坂氏は指摘する。フェイスブックを活用したらすぐ儲かると期待をするのではなく、ソーシャルメディアという意味を踏まえ、あくまでもコミュニティの中に自社も参加者として加わっていると発想し、自然体でそこに集った人々とコミュニケーションを交わすことが重要なのだという。

実はフェイスブック発祥国、米国の場合、これをビジネスツールという感覚で使っている人は少数派だ。あくまでも日常的なコミュニケーション・ツールである。朝食で何を食べたとか、どこに行ったとか、そういった普段着の情報を交わしあう人が全体の8割以上を占めるという。自然体での日常的な情報交換、これがフェイスブックの意義であり、魅力といえよう。

とはいえ、個人でも、企業でもせっかくやるからにはコミュニケーションは盛り上がったほうがよい。そのほうが間違いなく楽しいし、有意義だからだ。とりわけフェイスブックページを活用する企業は、直接売り上げアップに結びつかなくとも、自社のファンを増やしたいのは本音だろう。

このための手法について、熊坂氏に尋ねてみた。氏は、「好感アクセス収益モデル」というものを明示し、ホームページやブログ、ツイッターなどと連携させることの必要性を指摘する。このモデルは、まずよいコンテンツづくりに専心することから始まる。ともかく重要なのはコンテンツで、これがよいものでなければ、話題にもならず、ユーザーも増えないのだ。

それでは、よいコンテンツとはどういうものだろうか。

熊坂氏によると、それはユーザーから「有り難う」と感謝されるものだという。ユーザー目線では、有益な情報に触れたり、親切に対応してもらったりしたときに、「有り難う」という気持ちになる。それゆえ、企業は、組織内に蓄積された情報を出し惜しみせずに提供し、常に親切に正直に応対するという姿勢が大切なのだ。

また実際のコンテンツのアピールには、動画の活用が有効であるという。ビジュアルと音声の両面からアピールすることができるからだ。それゆえ、まず役に立つ動画を作成してそれをユーチューブにアップし、それを埋め込みという形で企業のブログに載せる。ブログというものは、基本的に日々更新され、動きのあるものであり、フェイスブックのような断片的なものではなく、まとまったメッセージを書き込めるものである。

そこで、ブログを更新した際に、その情報をフェイスブックのファン、およびツイッターのフォロワーに伝達して、ブログのほうへ誘導する。そして、それに関心をもった人々がホームページへ飛び、最終的にビジネスが成立する可能性が出てくるというのだ。

このモデルでは、ホームページ、ブログ、フェイスブック、ツイッターがその特性(差別的優位性)をいかんなく発揮して相乗効果が得られるように組み合わされている。このような世界では、フェイスブックはあくまでもトータルのIT戦略の一つの部品でしかない。しかし、重要な部品の一つとして機能しつつあるのは間違いない。今後、これを有効に活用していくことは極めて重要であり、そのための組織体制整備も不可欠になってくる。