難しい「頑張り過ぎない」
とくにタケさんは40歳を超えてから、コンディショニングを注意するようになった。たとえば午後7時の練習開始なら、午後5時ごろにクラブハウスに来て風呂に入り、入念なストレッチに取り組んでからグラウンドに出ていく。
イチローのごとく、ルーティンワークを大事にし、神経と筋肉の状態をチェックするのである。もしも筋肉が張っていれば、そこにテーピングテープを巻く。練習で全力プレーに徹する。ただ練習が終われば、すぐにからだの手入れをしてサッと帰る。若い選手のようにいつまでも個人練習をすることはない。
頑張り過ぎない、のである。これは簡単そうで、実は意外と難しい。木久江竜一トレーナーは「自分のペースを守ってやっている。あえてラグビー用語で例えれば、チェンジ・オブ・ペースのうまさでしょう」と讃える。
「練習中もそうです。コンタクトプレーやチーム練習ではスイッチがパチンと切り替わる。もしスイッチを入れっぱなしだと電池(体力)は切れてしまいます」
すごいもんですね、と声をかければ、タケさんは「44歳。体調はいいっすよ」と胸を張る。
「プロ契約ですから。これが仕事ですから。自分こそ、80分、試合に出させてもらって光栄です」