ところで済美高校野球部といえば、この1年間、対外試合が禁止されていた。2年生が1年生に対して殴る蹴るの暴行を日常的にくわえていたことが、発覚したためである。済美高校に限らず、部員間の暴力あるいは指導者から部員への暴力もまた、高校野球につきものの話題である。

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高校時代における部活動別の暴力経験割合(男子)

指導者から部員への暴力については、高校時代の部活動別の経験率が、大学生調査により明らかになっている。全国大学体育連合の調査(2013年9月~10月実施)では、「運動部活動中に体罰・暴力を振るわれたことがありますか」という質問で「ある」と回答した者の部活動別割合が示されている。図のとおり、野球部員は5番目に暴力の経験率が高い(※1)。別の大学生調査においては、サンプル数は少ないものの、野球部は2番目に多い(※2)。これらの調査から言えることは、主要な部活動のなかで野球部は概して指導者による暴力が起きやすい傾向にあるということである。

野球部の指導者に対して実施された調査においても、一部の指導者において、暴力容認の態度が確認されている。この調査は、2013年4月に日本高校野球連盟(高野連)が、加盟する全国4032校の硬式野球部(回答率100%)に対しておこなったもので、「体罰」について「絶対にすべきでない」が89.4%(3605校)と大多数を占めたものの、9.7%(393校)の指導者は「指導する上で必要」を選択したという。13年4月といえば、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部顧問による暴力事案が13年1月に発覚し、全国的に反暴力の動きが加速していた時期である。そのタイミングにおいてでさえ、1割の指導者が暴力を容認していた点は、見過ごすことができない。