どれだけ違うのか、内藤さんに試算してもらった。

「マンション1階の2DKで荷物が少なかったとします。1階なので人件費は1人につき1万8000円。4人いれば1日の作業で済みます。処理するモノはトラック1台半分だったとします。すると合計して……18万5000円で引き受けましょう」

これは荷物を増やさずシンプルに暮らしている人の例。ふつうはそうはいかない。特に、戦争経験世代の女性は、押し入れの中にびっしりと荷物や食糧をしまってあることが多いのだ。

「引っ越しと同じですが、2階以上の場合は荷物の搬送が大変。当然、人件費はかさみます。ここでは1人2万円で計算しましょう。1日目の仕分けのために2人必要です。お客さんにも立ち会ってもらい、現金や預金通帳、貴金属などは徹底的に探します。女性の場合、米びつの下からお金が出てくることもあります。2日目の搬出作業には5人は要りますね。処理するものはトラック約3台分として、合計34万8000円です」

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(上)信頼できる業者の選び方(下)遺品整理の費用例

類似する間取りでも、部屋の広さと遺品の量により倍近くの料金差が生じるのだ。見積もりの内容を細かく聞けば、他社との比較検討もしやすく値段に納得もできる。

また、見積もり内容を精査するとともに、遺品整理にあたり気になることを10点ほど質問すると、その会社の信用度や経験値が見えてくるという。

「業者の経験値を測るには、これまで経験したトラブルについて聞くのもいいでしょう。私の場合は、今まで50件以上のクレームを受けましたが、お客さんからのお叱りは1件だけで、しかもお客さんの勘違いによるものでした。他はすべて近隣からのクレームです」

トラックの駐車位置が悪い、作業音がうるさい、エレベーターを独占するな、などのクレームが多い。生前に近隣トラブルがあったか否かの聞き取りに加え、地元に精通した業者の経験が生きてくる。

トラブルではないが、顧客から「祖母が大事にしていた真珠のネックレスが出てこない」「故人の借金明細を記したメモが紛失した」と相談され、とくに念入りに仕分けを進めることもあるという。それでも目的物が見つかるとは限らない。