ここ数十年で奇跡的な成長を遂げたセブン-イレブンは「金の食パン」「セブンカフェ」というヒット商品を生んだ。つねに顧客を引き付けるそのパワーはいったいどのような「習慣」から生まれてくるのだろうか。
「ネクタイの役割は『首に巻く布』である」は×
「ネクタイの役割は『新しさ』である」が○
【鈴木】モノ余りの時代であっても、顧客は常に新しいものを求めます。例えば、ネクタイはなぜ売れるのでしょうか。
日本のサラリーマンなら、タンスの中に何十本とネクタイを持っているでしょう。「首に巻く装飾布」というネクタイの本来の役割は昔から変わっていません。それでも、新しい柄が出たり、幅が変わったりすると、また買います。つまり、ネクタイの本質的な役割は「新しさ」にあり、顧客はそれを買おうとするのです。
顧客に新しいものを提供する。私の頭のなかにあるのは常にそのテーマです。例えば、日清食品ホールディングスの安藤宏基社長にお会いした折も、私は「うちのグループに最高の商品をつくってください。値段は問いません」とお願いしました。これは、セブンゴールド初のカップラーメン「日清名店仕込みシリーズ」として結実し、1個268円とNB商品より高くても、売り上げは従来のシリーズの2倍に増えました。顧客はこれまでにない質の高さに新しさを感じたのでしょう。
サントリーホールディングスの佐治信忠社長にお会いした折も、同様のお願いをして、これも商品化されて好評を博しました。市場の空白地帯を探り続ける。顧客から変わらぬ支持を得るには、その努力が不可欠なのです。