3大治療は「時間稼ぎ」にすぎない

私たちは、「e-クリニック」というウェブサイト上で、日々個別の相談を受け付けています。そのため、一度相談に乗ったことのある方が「サバイバー」(がんからの生還者)となり、連絡をくださることも少なくありません。実は、サバイバーの方こそ、がんとうまく付き合うコツを知っています。

私は彼らと接しながら、このような問いかけをよく繰り返しています。

「がんが治る人と治らない人との決定的な違いは?」と。

やはり「考え方を変えた」「食事を変えた」という違いが、よく挙げられます。つまり、「今までのままでは駄目」ということなのです。今までの自分がストレスを増長させ、病気になったわけなのですから、積極的に患者さんが「自分自身」を変える必要があるのです。

『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著 プレジデント社)

まずは食生活を変えることから始め、趣味や旅行、働き方、人とのお付き合いの仕方まで。具体的なことを変えると、「考え方」は大きく変化し、それまでに負荷としてかかっていたストレスを減らすことにもつながるのです。そして、どうしても「時間稼ぎ」が必要な場合には、がんの3大治療(西洋医学)も上手に利用すればよいのです。

そもそも、3大治療とは万能なものではなく、「時間稼ぎ」にすぎないことを理解しておく必要があります。3大治療は、ほとんどが対症治療です。がんには対症治療だけでなく根本治療が不可欠です。

がんの根本治療とは、すなわち自身の自己治癒力を高めて、がんの病勢に打ち勝つこと。そのためには3大治療とは別にどうしても自己治癒力を高める手段が不可欠となります。今までの生き方や過度なストレスが、自己治癒力を低下させ、がんを発生させたのですから、今までの生き方や考え方を変えることが大切です。

私たちは自己治癒力を有意に高めるため、がん患者さんに中医学(気功、中医薬)などの補完代替療法を奨めています。もちろん、3大治療を頭ごなしに否定するわけではありません。上手に活用すれば非常に有用です。

しかしながら、主治医の言いなりに3大治療を受けるのではなく、必ず次に述べる2点をしっかりと押さえて欲しいのです。

1点目は、「やろうとする治療法の目的」「メリットとリスク」「治療の根拠」「代替案の有無」を担当医に訊いておくことです。

また目指すところが「根治」か「微々たる延命治療」か、はたまた「機能回復」「緩和治療」か、「形ばかりのアリバイ治療」かも、確かめておきましょう。

2点目は、「匙加減が可能かどうか」を確認しておくことです。今や欧米では標準治療を基準にしながらも、抗がん剤の投与量を微調整するなど、個人に合った治療を行っています。そのような小まめな配慮をしてくれるかどうかも最初に訊いておきたいところです。