ずっと薬を飲んでいるのに一向に治らない──。もしかしたら診断とは違う病気なのかもしれません。この記事はあなたのセカンド・オピニオンになります。

胃のあたりに痛みを感じて薬を飲んだものの、症状は変化なし。病院にいって胃カメラや血液検査をしたが、異常は見つからず、医者も首をひねるばかり……。

こんなときは狭心症を疑ったほうがいいかもしれない。日本赤十字医療センター血液内科の壹岐聖子医師は言う。

「狭心症は心臓の冠動脈が動脈硬化や攣縮によって虚血状態になる病気です。心臓の下のほうが虚血状態になるとみぞおちあたりが痛むため、それを胃痛と表現する人もいます。胃痛だと思って胃の検査をしても、狭心症かどうかはわからない。放置されて心筋梗塞になり、死亡するケースもあります」

この例のように、ある病気と診断されて治療を続けたものの、治るどころか悪化して、のちに別の病気が発覚するケースは少なくない。腰痛で骨粗鬆症と診断されたが、本当は骨髄腫で抗がん剤治療が必要だったり、風邪だと診断されたものの、なかなか治らず、あとで急性HIV症候群とわかったり。

どうしてこのような“誤診”が起きるのか。日本赤十字医療センター副院長の鈴木憲史医師は、間違った診断を生む構造を次のように話してくれた。

「病気には経過を観察しないと判断できないものや、経過中に病気そのものが変わってしまうものがあります。ですから、まだわからないものについては、はっきりわからないといえばいい。

ただ、それでは納得しない患者さんもいます。それに応えようとして医師が即断をすると、誤診につながりやすい」

たしかに患者は何か病名がつかないと不安になるもの。その心理が、医師の誤診を誘うのだ。