わが子の様子がおかしいと感じたら

私自身の、思春期の体験談です。

小学5年生のころのことです。

当時、私は自分の外見のことで悩んでいました。頭がとても大きいのです。サイズの合う紅白帽どのお店を探してもなかったくらいです。道ですれ違う人から「アタマ、大きいー!」と言われたこともあります。

5年生になるとそのことでいじめられるようになりました。

ある日のことです。私が学校に着くと、伝令係のような子が「高濱が来たぞ!」とクラス中に伝える。そして、教室に入ってきた私に向かって全員で「でこっぱち! でこっぱち!」と合唱です。なんと初恋の女の子まで……。

生まれて初めて、自殺しようと思いました。

『へこたれない子になる育て方』(高濱正伸著・プレジデント社)

その日、「もう死のう。」とトボトボと家に帰ると、私の様子がおかしいことに母親はすぐに気づきました。けれども、そのとき母親が私にしてくれたことは、ただひとつ。

「ちょっとおいで」と私を呼び、「言っとくけどね、お母さんは、あんたが元気ならよかとばい」と言って、ギューッと抱きしめてくれたのです。

この後すぐに、いじめがなくなったわけではありません。でも、私には安らぐ家がありました。その中で私は少しずつ強くなっていきました。

相変わらずつづく「でこっぱち」コールの中でも、「あいつ、今日は立ち上がるのが遅いな」なんて冷静にチェックを入れていたくらいです。