化粧品業界のリーディングカンパニーである資生堂。2014年4~12月期連結決算は、経常利益が前年同期比42%減の205億円。国内でシェアが低下傾向と苦戦している。
原因は大きく3つある。1つは、競合他社と比べて、ブランドの個性が伝わりにくいこと。例えばコーセーの「雪肌精」は美白のスキンケアに特化して成功。資生堂は基礎化粧品から口紅まで幅広い商品ラインアップを誇るが、個々のブランドのコンセプトや個性が伝わりにくい。
2つ目は、ブランドが多すぎること。資生堂は100以上のブランドを抱えており、1つあたりにかけられる予算が限られ、効率が悪い。
3つ目は、資生堂の置かれた立ち位置の難しさだ。化粧品業界は、ほかの製造業と比較して参入障壁が低い。自社の工場を持たなくても製造は可能で、販売もネットでできる。最近は、サントリーや富士フイルムなど、異業種からの参入も目立つ。次から次に競合が出てくる状況で、追われる立場としては苦しい。
消費者のライフスタイルも変化しつつある。販売は、美容部員とのフェーストゥフェースの対面販売から、ドラッグストアやネット通販が主流になってきた。宣伝も、CMに加えて、口コミサイトなど評判も売り上げを左右する。このような消費者のニーズに対しては資生堂のような大企業より、ベンチャーや小体な会社のほうが素早い対応がしやすい。
昨年、日本コカ・コーラから招聘した魚谷雅彦氏が社長に就任して1年以上たった。全ブランドの2割に相当する28ブランドの廃止を掲げ、マーケティング投資を増やすなど、大きな施策を行っている。店舗売り上げは上向いてきており、昨今拡大しているインバウンド消費も、海外、特に中国人に対してブランド力を持つ資生堂にとっては追い風だ。「魚谷改革」が本物かどうか、今年は真価が問われる年になるだろう。