お説教タイプに対しては、「自分たちの至らない点を教えていただいた」「改善のヒントをいただいた」という態度で臨むべきということだ。言葉も「ご指導いただきありがとうございます」「お話をいただくまで、そんなにご迷惑をおかけしているとは気が付きませんでした」などと、相手が自分に与えてくれたよい影響に感謝する表現がよい。
話が短時間で終わるか、1時間、2時間とかかるかはこの姿勢の差で大きく変わってくる。なぜならお説教タイプは「相手の間違いを直したい」と考えているので、こちらが間違いを正さない限りは「まだこの人は私の話を理解していない」と感じ、同じ話を何度も繰り返すからである。
ところが相手が与えてくれたよい影響に感謝する言葉を述べると、それまで敵対的だった関係が一気に同じ方向へ変わっていく。
逆に、お説教タイプに言わないほうがよい言葉が「おっしゃるとおりです」「ごもっともです」である。
「謝罪の場面に適切な表現のように思えますが、これらは相手の主張へ完全に同調する言葉です。こうした言葉を使うとお説教タイプの人は『そうだ、おまえが完全に間違っているんだ』とさらに怒りに火がついてしまい、長時間お叱りを受けるきっかけになることがあります」(谷氏)
【答え&解説】定年後の男性に多いタイプで、自分のかつての功績を知ってほしい、あるいは若輩者を教育してやろうと思っている。ここでは、褒めてほしい気持ちをくすぐるAで。Bは謝罪するシーンで男性が使いがちだが、相手が増長してしまう可能性があるので要注意。
1950年生まれ。西武百貨店にて全国3店舗のお客様相談室長および池袋本店お客様相談室を担当。在社中は1300件以上のクレーム・苦情を処理。2003年退社し、NPO事務局次長を経てメデュケーション代表取締役。著書は『となりのクレーマー』など。
クレーム・コンサルタント 谷 厚志
1969年生まれ。リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通して「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。現在は独立し、コンサルティング・講演などを行う。著書は『「怒るお客様」こそ、神様です!』など。