菅直人首相の苦境を尻目に元気溌剌なのが前首相の鳩山由紀夫氏だ。

昨年のクリスマスに小沢一郎元幹事長の政治倫理審査会出席問題を巡り、首相と小沢氏、岡田克也幹事長、輿石東参院議員会長、労組の連合首脳らの会談に鳩山氏も同席。自分をないがしろにする菅、岡田両氏に「私は無役なので」と嫌みを言った後、小沢氏の政倫審出席にこだわる菅氏らに苦言を呈す一方、挙党一致のために小沢氏を処遇することを求めるなど言いたい放題。岡田幹事長から「絶好調ですね」と揶揄された。

鳩山氏は普天間基地移設問題で日米関係をこじれさせて首相を辞任し、民主党人気凋落の原因をつくった人物。ところが、鳩山氏は首相辞任後にいったん政界引退を表明しながらそれを反故にして、いまや菅降ろしの急先鋒だ。

「菅首相が与謝野馨共同代表らの『たちあがれ日本』との連立を打診したことについて、鳩山氏は記者団とのオフレコ懇談で『菅君の代わりが与謝野さんで岡田君の代わりが園田(博之幹事長)さんなのかな』と、菅・岡田両氏の無能ゆえに民主党が『たちあがれ』に乗っ取られるかのように話して笑っていた。

また菅首相が挙党体制づくりに触れなかったことに腹を立て、『首相はカラーの資料を配って政策の話ばかりしていた』『首相は野党のときよりも与党のときのほうが大変だ、と言っていた』などと、首相を小ばかにしたような発言を連発。揚げ句に『“前総理がいるのに菅、岡田が挨拶しなかったのは失礼だ”と輿石会長が怒っていた』という話を進んで記者団に吹聴していた」(全国紙政治部デスク)。

政界引退どころではない好調ぶりだが、鳩山氏は自らが率いる鳩山グループ内の発言力維持にも余念がない。昨年12月14日、鳩山内閣の官房長官を務めた平野博文氏が自分の勉強会「雄志会」を立ち上げた。会長は平野氏、副会長に松原仁氏、幹事長に小泉俊明氏が就任。当選一回の若手議員ら20数人が参加した。鳩山氏が会の相談役だ。

「鳩山グループ内では小沢鋭仁前環境相が昨年夏に約40人の議員を集めて勉強会を立ち上げ鳩山氏に近い議員から『派中派づくりだ』と批判を浴びた。平野勉強会は、これを牽制するために鳩山氏がつくらせたものだ」(鳩山グループ議員)

古今東西、辞めた人がチョッカイを出すと、ろくなことがないのだが……。