参院で問責決議が可決、野党から官房長官辞任を求められ、去就が注目される仙谷由人氏には隠れたブレーンがいる。
エコノミストの中前忠氏とコンサルタントの篠原令氏の2人だ。両氏は主に経済、外交問題で仙谷氏をサポートしている。仙谷氏と親しい民主党関係者が話す。
「仙谷氏は社民党を離党し民主党入りした頃から『日本の経済改革研究会』という勉強会を主催している。勉強会には枝野幸男幹事長代理や峰崎直樹前経済産業相、古川元久・福山哲郎両官房副長官らが参加。最近は来なくなったが菅直人首相、鳩山由紀夫前首相、前原誠司外相らも以前は勉強会に顔を出していた。勉強会では毎回、エコノミストの中前氏が金融・財政、日米中の動向などについて講演し、質疑応答します。現在、勉強会のメンバーは30人ほどで、国会議員のほか党本部職員らも参加しています」
勉強会は2カ月に一度開かれ、中前氏のほか、旧日本興業銀行(現みずほ銀行)の元幹部が定期的に講演する。メンバーの一人は、「仙谷氏主催の“中前氏を囲む会”のようなもの」と言う。
小渕自民党政権で銀行の不良債権問題が日本を揺るがした1998年、民主党の菅代表(当時)は金融国会で独自の銀行国有化論を提案。小渕内閣がこの案を丸呑みしたため、民主党は小渕政権に協力した。「このとき菅代表が提唱した銀行国有化論は、中前氏を中心に仙谷勉強会でつくったものでした」(メンバー)。
あるエコノミストによると「中前氏は利上げ論者で、金利引き上げが国債マーケットに影響を与えるのを懸念する財務省とは立場が異なる」とのこと。仙谷氏は財務省には勝栄二郎次官以外に親しい人脈はないとされる。このエコノミストは「利上げなどを巡り、考え方が違うのかもしれない」と推測する。
もう一人のブレーンの篠原氏は中国と太いパイプを持つコンサルタント。主に日本企業の中国進出を仲介している。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡り日中間が緊迫した今年9月末、仙谷氏の依頼で細野豪志前幹事長代理が外務省の頭越しに訪中し、戴秉国(たいへいこく)・国務委員と極秘会談した。この会談を仲介したとされるのが篠原氏で、会談にも同席したという。仙谷氏の2人の知恵袋にも注目だ。