強制起訴後の“小沢裁判”の行方に注目が集まっている。小沢一郎氏は自らの政治資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)の共犯容疑について潔白を主張し、全面的に争う姿勢を見せている。

検察庁が二度にわたり小沢氏を「嫌疑不十分」で不起訴にしたことから「小沢氏の無罪は確実で、そうなったら小沢復権・小沢政権誕生だ」(小沢側近議員)という声も聞かれるが、小沢裁判を担当する司法記者はこう語る。

「検察庁は自分たちが不起訴にしただけに、裁判で小沢氏に勝ってほしい。小沢氏が有罪になったら“なぜ不起訴にしたのか”と国民から猛烈な批判を浴びるからです。ただ東京地検特捜部の検事のなかには、“小沢氏は土地購入のスキームの肝に関わっており裁判官は有罪と判断するのでは”と予想する人もおり、予断を許さない部分もある」

陸山会は2004年に東京都世田谷区の不動産を3億4000万円で購入したが、逮捕された小沢氏の元秘書の石川知裕衆院議員らは、なぜか04年分の政治資金収支報告書に土地購入を記載せず、05年分の事務所費に計上するなど虚偽の記載を行った。

購入原資についても当初、小沢氏側は「銀行からの融資」と主張したが、実際は小沢氏の個人資金4億円で購入したと説明を変更。特捜部の捜査段階での取り調べに対し石川被告は、小沢氏の4億円を「表に出すのはまずいカネ」と思い「原資を隠すために銀行融資を受ける偽装工作をした」と供述したとされる。

「裁判のポイントは大きく2点ある。一つは捜査段階での石川被告の供述をどう評価するか。石川被告は土地購入に際し、小沢氏に“05年に買ったことにします”と報告したと供述したとされ、石川被告がどこまで小沢氏に報告していたのかが問題になる。もう一つは、銀行から手形融資を受ける際に小沢氏自らが署名していること。銀行融資が偽装工作だったとすると、小沢氏は虚偽記載のスキームすべてを知っていたと判断される可能性もある」(前出司法記者)

石川被告は、昨年5月、特捜部の再聴取を受けた際、検事とのやり取りを録音。再聴取で検事に供述を維持するよう誘導されたとして捜査段階の供述調書の信用性を争う構えという。