問題を事前に知る方法

会社勤めの読者の多くはTOEICを団体特別受験(IPテスト)で受けているだろう。このIPテスト、受験対策関係者の間では、実は約4年前に公開テスト(一般向けのTOEIC)で出題された問題がそのまま使われていると言われている。しかも、ワンセット200問がそのまま使われるようなのだ。

国内で年間10回行われる公開テストは、同じ日のテストで1~3種類の異なる問題パターンが使われることが多い。お隣の韓国では年間14回の公開テストが行われているが、通常、問題パターンは1種類。昨年は、あわせて35種類の問題パターンが使われた。これまでの傾向から、そのうち6~8種類は約4年後のIPテストの問題に“リサイクル”されると予想される。

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「問題のリサイクル」イメージ

4年前に受けた公開テストに、今年のIPテストでたまたま「再会」するという幸運は起こりうる。ただし、試験問題は持ち出し禁止のため、4年前の試験内容を記憶しておく必要がある。

TOEIC受験の専門家たちは実際の試験を受けて、本物に近い内容の問題集を作成している。たとえば2010年に行った問題集を買ったとする。今年の公開テスト受験者は「内容がちょっと古い」と感じるかもしれない。しかし、IPテストの受験者にとってはまさに最新の内容であり、問題集の文章とそっくりなものが今日受けるIPテストに出る可能性もある。

この「リサイクル問題」、公開テストにも使われている。受験経験が豊富な人々によれば、その割合は全試験問題の4割前後らしく、約1年前の複数の公開テストで出題された問題が混ぜ合わせて使用される。

リサイクルする理由は、試験の難易度を同じ水準に保つためだろう。4割は過去に正答率がわかっている問題を使えば標準化がしやすい。

TOEICの問題は持ち出し禁止とはいえ、無数の個人が集まるネットでは情報が飛び交っている。あなたが次回に受ける公開試験が「第190回TOEIC」だとすれば、約1年前の「第180回TOEIC 速報」などとネット検索すればよい。上級者が思わず解説をしたくなる問題など、個人のブログなどで試験後の感想が見られる。

日本以上にTOEICが盛んな韓国ではこれがエスカレートし、組織的な受験で試験問題を「丸パクり」して販売する行為が横行。そのため、リサイクル問題の使用もやめてしまったそうだ。

※TOEIC受験対策関係者への取材にもとづいて筆者作成

ヒロ前田(ひろ・まえだ)
TOEIC受験指導のプロフェッショナル。受験回数は85回以上。検証目的で受験しているため、取得スコアは15点から990点と幅広い。著書に『TOEICテスト900点。それでも英語が話せない人、話せる人』など多数。
(撮影=相澤 正)
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