“安定志向”でベンチャーに入る

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ブラック企業大賞2013ノミネート企業

世間では労働時間が長く、賃金の低い会社をブラック企業と呼ぶようです。ただ、それは見方の一つにすぎません。ハードワークが求められて低賃金の職場がブラックなら、ベンチャー企業のほとんどはブラック企業になってしまう。

私は労働時間や賃金より、夢を持てるかどうか、力がつくかどうかに注目したほうがいいと考えています。

たとえば野球やサッカー選手がぶっ倒れるまで練習しても、そのチームはブラックとはいわれません。選手が夢のために頑張れて、なおかつ選手として成長できるからです。企業も同じです。たとえ残業が多くても、仕事が自分の夢とつながっていて、同時にスキルアップできる環境があるなら、周りがとやかくいうことではない。同じベンチャーでも、そういった環境を整えている会社と、単に人材を使い捨てにするだけの会社は分けて考えてほしいと思います。

ベンチャー企業は大企業に比べて不安定だという声もあるでしょう。しかし、アメリカでは優秀な学生ほどベンチャー志向。「アメリカ人は起業家精神に溢れているから」という人もいますが、それはウソ。本当は“安定志向”でベンチャーに入る。

アメリカの大企業は、「おまえだけ辞めろ」というピンポイントの解雇はしないものの、部門ごとのレイオフや売却がよく行われます。IBMやオラクルに入社しても安定が約束されるわけではありません。一方、ベンチャーは10社に1社成功すればいいほうなので、一見すると雇用は不安定。しかし若いうちから仕事を任せてもらえるから力がつくし、1社がダメでもすぐ次があります。長い目で見れば、ベンチャーで力をつけたほうが人生の安定をキープできます。アメリカの学生はそれを知っているので、ベンチャーに向かう。