悪質ストーカーに対処するには、家族の結束と父親のリーダーシップが不可欠です。もし被害に遭ったら、まずストーカーとの関係性と経緯を娘さんの口から聞き出します。(1)付き合っていたが、こちらから相手に別れを告げた、(2)相手から告白され、拒絶した、(3)ソーシャルネットワークを通じて知り合い、交流しているうちに相手が豹変した。大別すればこの3パターンになるでしょう。
次にストーカーの危険度を探ります。私は危険度を次の3段階に分けて考えます。
第1段階(Risk)。娘さんが断っているのに、相手は聞く耳を持たず娘さんへ復縁を迫り続けるなど、注意を要するレベル。この段階ではご両親のバックアップのもと娘さんがストーカーと1対1で話し、問題を解決させることが可能です。万一ストーカーと娘さんとの間に金銭の貸し借りなどがあれば、一刻も早く清算させましょう。
第2段階(Danger)。付きまとい行為や「責任をとれ」「誠意を見せろ」といった発言があるなど、危険性が高まり第三者の介入などの手を打つ必要がある段階です。理想は警察から警告を発令してもらうことですが、緊急性が低いとみなされ、なかなか動いてもらえないのが実情です。
この段階で「今後一切、娘や私たち家族に近づくな」と、父親が加害者からの連絡を完全に遮断したのが、東京・三鷹市で起きた女子高生殺人のケースです。被害者にはお気の毒ですが、実は完全にシャットアウトしてしまうと、逆に相手を刺激することになり危険です。私なら「お父さんが彼からの窓口になってください」とアドバイスしたでしょう。
第3段階(Poison)。「おまえを殺す」などの発言や、殴る蹴るといった暴力行為が見られ、ただちに避難・救出しなくてはならない段階です。犯罪の領域であり、ここまでくると警察の介入が不可欠です。