──この店舗が扱うのは中価格帯と低価格帯の製品。リーマン・ショック以降、8回の値下げを繰り返していたが、一昨年から品質やデザイン、機能性を高めた中価格帯の製品を増やしていることを強調した。ニトリは、「一に安さ、二に安さ、三に安さ」(ニトリ憲法より)をやめるのか。

円安1円で15億円の為替差損を被ります。大変厳しい状態でしたが、原料、材料、素材を自分たちで探し、また輸入元の国を替えたりして、粗利をほぼ変えずに品質を一段とよくできました。銀座の店には中価格帯の商品を多くしていますが、決して値上げではないのです。ニトリ全体で客単価が2%程度上がりました。

来年ぐらいには日本はデフレから脱却すると見ています。そのための対応として先手を打っていっている最中ですが、すでに効果は出てきています。うちも賃金を上げたし、世間でも余裕のある人は増えていく。そうした人たちは中価格帯の製品を買ってくれるけれども、選ぶ目は非常に厳しい。

──銀座のニトリの200メートルほど離れた場所には、親娘で大騒動を起こしたライバル「大塚家具」の店舗がある。大塚家具は価格帯をニトリとは逆に下げると表明している。

大塚家具のことはイケアも含めて、競合、競争とは考えていません。私たちのコーディネートを提案していきましょう。ちょっと価格帯が上がったからといって、客層がまったく違うのではないかと思うのです。

──似鳥社長は、従業員全員と握手をしながら、現場から新しい提案をしてほしいとお願いをして回った。写真撮影を頼まれた際も、ポーズを決めて「ニトリの『ニ』!」と親父ギャグを忘れない。これだけの成功を収めながら、従業員と同じ目線で向かい合い、自ら変革する意思が伝わってくる。

日本に家具のコーディネーションを根付かせるのが私の夢。そのためにこれまでも努力してきましたが、50点といったところ。まだまだこれからです。これからの数年では品質向上を実現したい。「つくる、売る」の立場ではなく、「使う、買う」の立場で考える。現場でお客さんの不満や不便を探してどんどん提案してください。

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(唐仁原俊博=取材・構成・撮影)