ISのスポンサーとして最初に名前が囁かれたのは、湾岸産油国の中の、サウジアラビアとカタールだった。サウジアラビアがシリアのバッシャール・アサド大統領を嫌悪しており、1日も早くアサド体制を打倒したいと考えていたというのがその根拠だ。カタールは、10年に始まった「アラブの春」の革命騒動の最中でも常に反体制側を支援し、煽ってきた。悪い言い方だが、ISも興味本位で支援したのかもしれない。

そしてもう一国、ISに裏から支援を行っている国がトルコだ。トルコがISを支援するのには、それなりの理由がある。トルコのエルドアン大統領は大のアサド嫌いで、この体制を打倒したいと望んできたし、それを公言してさえいるのだ。

トルコは情報部が中心となってISに武器弾薬を送った(トラック3台分を送った事実がある。国境警察が阻止しようとしたが、情報部の幹部が絡んでいたことで黙認された。それが現在トルコの野党やマスコミの、政府批判の理由になっている)ほか、ISに参加する戦闘員が国内を通過したり、国内にISがリクルート・センターを設置することも黙認してきた。

一説によれば、トルコの中央部のボル・マウンテンや南東部にISの軍事訓練所があるというが、そうした軍事訓練所やリエゾン・オフィス、連絡事務所を開設しているのはほぼ事実であろう。そうでもなければ、北アフリカや欧州から突然ISの戦闘に参加しにきた者たちが、無事にシリアやイラクのISの陣地になど辿り着けまい。

ISの非常に短い期間での大成長を可能にした要因は、まずスポンサーありき。次いでツイッターやフェイスブックといったSNSやインターネットなど最新の通信手段を駆使し、世界中から戦闘員を募ったからであろう。