湯川遥菜・後藤健二両氏の殺害で、一躍日本人の関心の的となったIS(ISIL)。今後も自ら語るような残虐な活動を拡大していくのだろうか。

世界中のイスラム過激派組織が、ISILに対してバイア(服従を宣誓すること)を行っており、その中には日本に近い、インドネシアのムジャヒディン・インドネシア・ティムール(MIT)、フィリピンのアブ・サッヤーフ組織などがある。

もっともバイアの目的は、自分たちの組織をより大きく見せようという魂胆であり、必ずしもISILの言いなりに動くわけではあるまい。

イスラム過激派組織の間には、従来も横の連携が生まれたことが何度もあるが、資金援助と力の誇示が必要であり、それなしの盲従はありえない。今、東南アジアのイスラム原理主義組織がISILに対して、バイアをしたからといっても、ISILから資金援助が届くまでは、これらの組織の動きは表面化するまい。

そのISILの資金獲得には、これまで2つの段階があった。まず第1段階は、湾岸諸国などからの資金援助と個人的な援助。第2段階は、占拠したシリア北部・イラク北部の油田で採れる石油の密売だ。一時期は1日の売り上げが約1億円といわれていたが、最近では石油価格が大幅に落ち込んだため、1日3000万~5000万円も入ればいいところであろうか。

これでは、3万人前後といわれる戦闘員に支払う給与でさえ不足しそうだ。実際に給与の未払いなどが原因で、ISILから離脱しようとする戦闘員が出てきているが、彼らは逮捕され投獄されるか、処刑されている。

ISILとしては、バイアを取り付けたものの、これでは支持組織に実利的なメリットを与えることができないため、極めて緩い関係を構築することしかできまい。

そうした中、2月10日を過ぎた頃より、イランと米国からISILの終焉が近付いているとの見通しが聞こえ始めている。