大幅な生産過剰になったために71年度から始まったのが減反による生産調整。かつて減反政策に参加した農家に10アール当たり15000円の補助金を一律に払ってきたのだ。半世紀も続いてきた減反政策は2018年度にようやく撤廃される予定だが、当然至極。米価を高止まりさせるために補助金を払って生産調整するほうがおかしい。余るなら生産をやめればいいし、価格が下がるなら消費者に還元すべきなのだ。
70年には1000万人以上いた農業就業人口は今や226万人(全就業人口の2~3%)まで減っている。しかも、そのうちの3分の2は65歳以上。すでに年金をもらっているわけで、日本のコメ農家の平均所得の構成比を見てみると、年金所得は農業所得の3倍以上だ。
年金をもらって片手間でやっている人たちがTPPを奇貨として農業改革をするかといえば、するはずがない。しかも農地を持つ農民である限りは相続税がかからないから、農民であることをギブアップしない。代替わりしても補助金だけはもらい続けるわけだ。
耕作放棄地は年々増えている。しかし、企業が参入しやすいように政府が買い上げて農地を集約しようとしても、これがなかなか進まない。農民が手放さないからだ。
農業も産業である。産業である以上、競争力がなければ潰れるのは当たり前。戦後のひもじい時代に胃袋を満たしてくれたとはいえ、とうに崩壊している農業を助け続けるのは納税者にとって永遠の重荷に、消費者にとっては大きな負担に、なるだけだ。