4~6月期の実質GDP(国内総生産)は前期比で0.9%増、年率換算で3.7%増。5四半期ぶりにプラス成長に転換した(速報ベース)。しかし、密かに心配していることがある。ズバリ、倒産が増えるのではないか、ということだ。

受注増でも倒産してしまうカラクリ
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受注増でも倒産してしまうカラクリ

よく「景気の転換期には倒産が増える」といわれる。景気が悪化した際に倒産が増えるというのは誰にも納得しやすい。しかし、景気が底を打って回復し始めたときこそ、企業倒産は急増しやすいのだ。いわゆる「景気回復期の倒産」である。

その理由を説明しよう。景気が悪くなると、銀行の融資が厳しくなって、資金調達が難しくなる。業績も悪化し、企業は在庫や設備投資を抑えて、人員の抑制も図る。企業としては当然の行動ともいえる。

そして、ある程度の景気低迷を経たあと、景気は回復傾向に転じ、受注が増え始める。喜ばしいことではあるが、原材料などの在庫や機械設備、そして人員は縮小した状態のまま。結局、手持ちの材料や設備では生産が追い付かず、今度は新規の仕入れや設備の増強が急務になる。それには運転資金が必要だ。

「受注できるのならコストがかかってもいい」と考えるかもしれない。しかし、ここが問題なのだ。仕入れなどのコストの発生から、実際の売上代金の回収まではタイムラグがあり、その間は資金をやりくりしなければならない。かといって、銀行から融資を受けようにも、業績が完全に回復していない段階では、現実的に難しい。

別表を見てほしい。9月から毎月10億円ずつ、翌月納品で新規の受注が入ることになった。もちろん納期に合わせるためには、材料の調達や生産をすぐに始める必要がある。その1カ月分のコストはというと、営業利益率(営業利益÷売上高)を10%と仮定すると、「10億円×(100-10)%=9億円」になる。しかも翌月から支払いが始まる。