『弱虫ペダル』は、アニメやゲームを愛するオタク少年が、ひょんなことから自転車競技にのめりこんでいく物語。 (c)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダルGR 製作委員会

最近、いくつかの中学校、高校でお話をさせていただいて、学生たちと対話をした。

こちらから、脳の話をするだけでなく、彼らの話も聞く。「君たちの中で、一番のオタクは出てきて!」と言うと、喜んで出てくるやつらがいる。

それで、何のオタクなの? と聞くと、好きなアニメや漫画、ゲームのタイトルを言う。「へえ、それ、どんな作品なの?」と尋ねると、本当にイキイキと、その世界観や、キャラクター造形、ストーリーについて解説してくれる。

一方、学校の講堂や体育館に来ている保護者たちや先生は、子供たちが夢中になっている作品を、ほとんど知らないことが多い。

たとえば、最近ある中学校で聞いた作品は、『弱虫ペダル』という漫画。子供たちは、かなりの割合で知っていたが、保護者や先生たちは、ほとんど知らなかった。私も実は、恥ずかしながら教えられるまで知らなかった。

『弱虫ペダル』は、学校の自転車競技部の話らしく、さまざまな性格の登場人物が出てくる、感動的なストーリーのようだ。私の世代にとってはなじみの深い『巨人の星』や『あしたのジョー』のように、スポーツ漫画だが、時代が流れて、やはり現代的なテイストになっているらしい。

ここには、ビジネスをやるうえでも役に立つ、一つの発想のヒントがあるように思う。現代のことを知りたければ、子供たちに聞くのがいい。彼らは時代の最先端の感覚を、ごく自然に身につけていて、「次に来るもの」に興味を持ち、一心に向き合っている。