考えてみれば、私たちが子供の頃も、いろいろな漫画やアニメに夢中になっていたけれども、周囲の大人たちは、必ずしもそれを把握していなかった。そして、当時私たち子供が夢中になっていた作品のいくつかは、今や「古典」となっている。
時代は繰り返す。今の時代もまた、子供たちの心をとらえている作品こそが、「次の時代」につながる動きなのだろう。その熱い潮流を知るためにも、時には子供たちに、「今何が流行っているの?」と尋ねるのがいい。
『妖怪ウォッチ』のような、社会現象になるほどの大ヒットになれば、自然に大人たちの目にも入ってくる。問題は、そこまでの大ヒットにならなくても、子供たちが夢中になっているもの。それらの作品群について、大人たちが謙虚に子供に聞くことで、新しい発想へのヒントが得られるのではないか。
ところで、対話を重ねる中で、日本の子供たちの強さと、その逆の課題も見えてきたように思う。
日本の子供たちが夢中になっている作品は、そのまま、日本の強さの象徴でもある。漫画やアニメ、ゲームにおける「コンテンツ」の制作力は、日本は世界の中でもおそらく際だって強い。このような作品群たちは、これからも「クール・ジャパン」を支え、日本経済の一つの鍵となろう。
それに対して、気になるのが、日本ではコンピュータのプログラムを中学校あたりからばりばり書くオタクが、比較的少ないことである。
アニメや漫画のオタクの数に比べて、プログラムのオタクが少ない。このような子供の世界の現状は、そのまま、日本の競争力の実状に反映されているように思う。
日本の可能性も、課題も、子供たちとの対話から見えてくる。だからこそ、身近な子供の声に、耳を傾けたい。