「人生の主権」を取りもどす

「ゆるい就職」をした若者と

先日、実際に「ゆるい就職」で働きはじめた4人に集まってもらい、話を聞きました。もともと起業志望だった1人を除き、3人は正社員や公務員経験者でした。彼らは別に、安定した職や収入がなかったからこのサービスを利用しているわけではありません。社会的には理想的な職に就いていた彼らが、お金はそこそこ稼いでいた若者たちが、何年か経って「本当にこのままでいいのだろうか」と立ち止まって、人生をより充実させるために、あえて寄り道や遠回りすることを選んでいるのです。

・起業志望の若者。週3日働きながら、副業にも挑戦中。
・元自衛官。現在は週3日勤務の営業マン。営業の仕事にハマり、上司との関係も良好なので、週によっては4日以上働くこともある。
・元不動産会社で高給取りだったが、趣味の音楽活動ができずに退社。現在は週2日・月収10万円のさらなる時短スタイルで営業の仕事をしながら、月10本以上ライブを行っている。
・元飲食チェーン店の店長。正社員だが残業も当たり前だった。現在は週3日だが、夕方から専門学校に通うため、週5日で毎日16時までという時短スタイルに変更予定。

「ゆるい就職」は、週休4日や、15万円という数字にこだわっているわけではありません。人によって、人生に合わせて、色んな選択肢があればいい。もちろん、彼らが選んだような、そんな新しいスタイルが必ずしもうまくいくかはわかりません。でも、その自己責任も含めて、彼らは自らの意志で覚悟して選択しているのです。

4人から共通して感じたのは、自分の人生を自分で選択しているという充実感のようなものでした。なんとなくやり過ごしているというような気だるさは、微塵もない。仕事そのもののやりがいや適正も大事ですが、それ以上に、ライフスタイル全体をアレンジできるということが重要なんだと思います。月に10本以上ライブするという彼は、「寝る時間もないくらい忙しい」と言っていました。時短と言えど、収入は10万円。決してラクな人生ではありません。でも彼からは、後ろ向きなものは、なにひとつ感じられませんでした。それはきっと、「人生の主権」を取りもどせているからなんだと思います。

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