「私のほうから『本当にそれでいいの?』と聞き直したぐらいです。結局、私の経験からキッチンやリビングは2つに分けることにしました。いまは1つしか使っていないんですが、子どもが生まれたり、年を重ねたりすると生活スタイルも変わる。気兼ねなく友だちを呼べるような家のほうがいいだろうと思ったんです」(美紀さん)

次男の祐介さんは、直美さんに「親と一緒に住もうと思う」と結婚前から伝えていたという。

2階建ての斎藤さん邸。屋上ではバーベキューもできる。

「建て替えの前に、兄には『自分たち夫婦で両親の面倒をみるつもりだ』と話しました。両親への恩返しのつもりで、同居の話を切り出しました。妻の直美は、弟たちとも親しくしていたし、家族が多いほうが心強いといってくれました」(祐介さん)

建て替え費用は約5000万円。親世帯と子世帯の「親子ローン」で賄った。同居する兄弟姉妹がローンを負担するケースもあるが、斎藤家はそうしていない。弟たちは「部屋が新しくなっただけ」(信一さん)だからだ。弟たちも、いずれは結婚して、独立するだろう。そのときには祐介さん夫婦の子どもたちが使っているはずだ。

「2.5世帯住宅」は、昭和の半ばの時代まで見られた大家族という暮らし方に近い。そんな時代を知らない世代にとっては、満足度の高い新鮮な暮らし方になるに違いない。

(永井 浩=撮影)
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