「市町村初の条例」で再選狙う?

ここへ来て“実績”を手にしたいというのは、“何も実績がない”の裏返しなのだろうか。ところが、「それは違う」と、前出のA市議は語る。

「市は深刻な行政赤字を抱え、高橋市長は財政健全化を余儀なくされてきた。思い切った予算の使い方など出来るわけもなく、固定資産税や軽自動車税などの市税引き上げや手数料の引き上げなど、市民の負担増という“嫌われ役”を買って出た」

市財政赤字の大きな原因は市立病院だという。病院職員の人員削減や給与引き下げにも取り組んだが、今なお一般会計からの繰り入れなしには運営は厳しいという。

「それでも市立病院を再建しなければ、高齢化が著しいこの市は成り立たない」(A市議)

身を切る改革を進めている中で、改選期が3カ月後に行われるのだ。そこで、「市町村初の条例」を引っ提げて再選を狙うつもりだとの見方が広まっているのだ。

別の市政関係者は声を潜め、こう明かす。

「昨年、医師会が条例制定に向けた請願を出した。医師会は医療行政の要であり、逆らいにくい。また、穿った見方をすれば、市長に対して票をまとめる代わりに早く条例を作れと言っているようなもの。だから、高橋市長は必死なんじゃないでしょうか」

たとえ、ウワサにしか過ぎない話も、事を強引に進めようとすれば尾ひれ背びれがついて真実味を増してくる。

「そうならないためにも、じっくり時間をかけて検討する必要があります」(前出・B市議)

もう一つ、問題がある。“通学路問題”だ。市当局の担当課長は2月17日、記者の電話取材に対し電話でこう答えた。

「具体的には、通学路における喫煙の防止が挙げられ、条例化へと動き出したのです。ただ、教育委員会などで話をすると、通学路の定義がない。主要道路とかすべてなってしまうような話で、現実的ではないんですね」