食と娯楽が目玉の滞在型SC

ショッピングセンターを地域コミュニティの中心として、地域とともに成長することを目指すというのがイオンの理念。90年代、イトーヨーカ堂、ダイエーなどが都市に進出するイメージがあったとき、イオンは郊外展開に力を入れてきた。アセアン進出は、そこで培われたノウハウが活きているはず。では、ここビンズオンに、どんな商業施設をつくるイメージを抱いたのだろう。

「お客様の声をリサーチしたところ、今の生活には娯楽が少なく、楽しみは食べること、でした。そして人口の構成からしても明らかに子どもが多い。家族連れが行きたくなるような施設にしようということで、飲食とアミューズメントを中心としたショッピングセンターを考えました」(西峠)

子どもが安心して遊べる場所になっている

日中は熱中症になりそうな気温。そして決して安全とはいえない交通事情。子どもが安心して遊べる場所がないことに気づいた西峠は、<ビンズオンキャナリー>の2階に「プレイタイム」という子ども向けの大規模ゲームセンター、3階には「モーリーファンタジー」という遊戯施設のスペースを設けた。この仕掛けは大成功だった。気温が下がり、外出しやすくなる夕方6時から来店客はピークを迎える。小さな子ども連れの家族を中心とした客は、店内で食事をし、買い物をし、遊び、2時間から2時間半を過ごす。いわば滞在型ショッピングセンターである。

実は、2号店のそばには、イオンができる少し前にロッテマートが開業している。しかし、こちらは苦戦しているという。同じショッピングセンター形式なのにどこが違うのか。

「私たちは商業デベロッパーですが、向こうは不動産デベロッパーです。つまり、場所を価値に応じた値段で貸し出すのが仕事。だから百貨店のように化粧品や高級ブランドのテナントが入り口に並び、日常的に利用するスーパーマーケットはちょっと不便な高層階にあるという売り場構成なのです。一番の違いは、私たちはイオンの原理原則、お客様を第一に考え、取り組んでいることでしょう」