がんは不治の病ではない。研究の現場を訪ね歩くと、そう感じる。アプローチは1つではない。治療法はあらゆる角度から進化している。研究者たちのほとばしる熱意を感じてほしい──。

「獲得免疫」を活性化。副作用は軽い

京都大学再生医科学研究所 教授 河本宏氏

ワクチンとは毒性を弱めた病原体を使った医薬品だ。体を守る仕組みである「免疫」に病原体の特徴を覚えさせ、感染症などを「予防」する。インフルエンザの予防接種などが予防用ワクチンの代表例だ。

だが近年、「治療」を目的としたワクチンの開発が進んでいる。なかでも注目されているのが、治療用のがんワクチンだ。

免疫は、体外から来た「異物」を「抗原」と呼ばれる物質で区別して、体を守る。その反応は「自然免疫」と「獲得免疫」の2つに分けられる。自然免疫は先天的に準備されているもので、さまざまな抗原を対象に初期防御を担う。