昇格年齢に達しても昇格できない
役割給を導入している企業でも一部職能給を残し、二本立てで運用しているところも少なくない。この場合の職能は、いわば“生活保障給”の意味合いを帯びている。しかし、業績低迷が続けば、いずれ職能給を廃止する企業も出てくるだろう。
加えて、業績低迷による人件費原資の縮小により、昇進適齢期を迎えても昇進できないという現象も生まれている。大手不動産業の人事課長は「各部門から推薦された昇格候補者のうち、実際に課長に昇格したのはわずか2割。2009年の3割からさらに下がっており、落胆している人も多い」と指摘する。
同社の平均的な課長昇格年齢は30代後半であるが、今では昇格できない社員が大量に滞留しているという。通常なら昇進・昇格させてもいい成績であっても、昇格原資を絞り込んでいるために昇格できない人が増えている。会社で最も活躍が期待される世代が、昇格年齢に達しても昇格できずに、給与が減少し続けている。企業業績の低迷が給与や昇進システムに大きな矛盾を引き起こしている。
※すべて雑誌掲載当時