教師の評価制度を企業に応用すると……

オークションが終わり、サイレント入札用紙への記入が締め切られると、誰が「よい」先生かを示すパターンが表れる。保護者たちは、すばらしい先生と半日過ごすという多くの生徒があこがれる体験にプレミアム価格をつけることをいとわないので、人気の高い教師の入札用紙にはたくさんの記入がある。

逆に、あまり人気のない教師には低い値しかつかず、なかには1件も入札がない教師もいる。毎年毎年、同じ教師が人気を集め、そうした教師の時間が高値で売れる。教師のサービスの消費者(少なくとも私の子どもたちはそうだ)として、私はこの市場データを使って、自分の子どもを翌年どの先生のクラスに入れたいかを決めている。

もちろん現実には、私は子どもの担任を選ぶことはできない。それは学校当局が決めることだ。それでも万一、選択権を与えられた場合に備えて、どの先生が継続的に高得点を得ているかを見つめ続けているのである。

教師のサイレント・オークションのことを考えているうちに、条件を設定したりインセンティブを受けるなど本社機能から最高のサービスを得るために、企業の中に市場をつくればよいのではないかと私は思うようになった。市場での選択肢と競争が質の向上、コストの低下、イノベーションの活性化につながることは、誰もが知っている。われわれの経済システム全体が(不完全なものではあるが)、この考えを基盤としている。だが、選択肢や市場の力がほとんど存在していないところがひとつある。大企業の本社部門である。