不機嫌な妻、無気力な子、頑迷な老親……家族をめぐる苦悩の克服には、“今日より悪い明日”を直視する徹底したリアリズムが必要だ。

「汝の敵を愛せ」は博愛主義ではない

様々な矛盾を抱えた書物であるにもかかわらず、『新約聖書』が約2000年、『旧約聖書』が3千数百年生き延びてきた強さの源泉は、そのリアリズムにあります。新約聖書の冒頭の「ヨハネによる福音書」第1章1節「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった」がそれを端的に示しています。

この1節は、言葉が人間のものの考え方や感情、物事のすべてを決めていくということを述べたものです。キリスト教は言葉を重視する宗教。言葉なしには何事も相手に伝わらないということを、まず真っ先に述べているんです。

(高橋盛男=構成 小原孝博=撮影 PIXTA=写真)
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