ハイブリッド手術で左肺上葉を切除

私の肺がんは腺がん、病期は1B期(現在の基準では2A期)と診断されました。肺がんは早期発見が難しく、約7割の症例がインオペといわれています。そのため、いまだに治療成績がよくありません。私の肺がんは、幸いなことに手術ができ、根治も期待できるケースでした。

しかし、私は産婦人科医で肺がんの専門医ではなく、どこで手術を受けるべきか、大学の同僚や先輩、友人の医師にもいろいろと相談しました。そして、福岡県にある九州がんセンターに決めました。肺がんの治療実績が豊富だったうえ、単身赴任である私の家族が福岡県に住んでいたからです。仕事への影響が少ない8月の盆休みに約2週間入院し、「ハイブリッド手術」で左肺上葉を切除しました。

肺は大きく分けて、左肺の上葉、下葉、右肺の上葉、中葉、下葉からなっています。肺がんの手術は、ごく早期なら肺葉の一部切除で済むケースもありますが、肺葉ごと切除するのが基本です。ハイブリッド手術は、胸腔鏡手術と開胸手術を併用する最新技術。胸腔鏡手術は、胸に数カ所の小さな穴を開けて胸腔鏡(胸腔内を見る内視鏡の一種)と手術器具を入れ、胸腔鏡を見ながら患部を切り取る、体にやさしい低侵襲の手術です。

胸のまわりのリンパ節も一緒に切除しました。術後の病理組織検査ではリンパ節転移はありませんでしたが、がんが密かに体内に飛び火している可能性があります。そこで、9~11月に岩手と福岡で交互に術後補助化学療法も受けました。約1週間入院して「シスプラチン」と「ビノレルビン」という抗がん剤の点滴投与を計4回繰り返したのです。