11月1日、末期の脳腫瘍を患う米・オレゴン州在住のブリタニー・メイナード氏は、医師から処方された薬により自ら命を絶った。回復不可能な病気等で末期の状態に陥った場合、患者が自分で死に方を決める権利を「死の権利」と呼ぶ。
死の方法はオレゴン州の尊厳死法で認められるような医師の幇助を受けた自殺、医師が薬物投与を行う積極的安楽死、延命措置の不開始または中止、苦痛の最大限の除去などが行われる消極的安楽死(日本における「尊厳死」はこれを指す)に分かれ、一部の国や地域でその権利が認められている。米国では1970年代に最高裁で消極的安楽死を認める判決が出るなど、長い時間をかけて議論されてきた。
世界的に認められつつある死の権利だが、日本で根付くのか。日本尊厳死協会副理事長の青木仁子氏は「協会の考える尊厳死は自然死であり、成文法では憲法13条の『幸福追求権』に基づいている。だが、いざというとき、日本では医師は患者より家族に目がいくし、本人が延命治療を望んでいなくても、家族が“親孝行”として長生きさせようと考えがち」と話し、家族のためにも書面にして自分の意思を残すことを勧める。平均寿命が延び続ける昨今、自分が選んだ形で“きちんと死ねる”社会が求められていきそうだ。