東国原英夫前衆院議員の肚の強さは「そのまんま東」時代に鍛えられたものか。(写真=時事通信フォト)

これは、ある人から聞いた話なのだが、ビートたけしさんのお弟子さんの集団「たけし軍団」の「芸名」にユニークなものが多いのには、理由があるのだという。

「そのまんま東」「グレート義太夫」「井手らっきょ」「水道橋博士」など。さらには、ちょっとここには書きにくい芸名も。実際、NHKに出るときには別の芸名で、という方もいらっしゃるらしい。

なぜ、そのような芸名をつけるのか。かっこいい芸名や、もっともらしい芸名にはない、社会との関わりが出てくるからだと、その人は言った。

芸人としてデビューして、番組やイベントなどで紹介されるとき、かっこいい芸名だと通りがいいし、何よりも本人が「その気」になってしまう。それでは、芸人としての「魂」が鍛えられない。

芸名を言った瞬間、「ぷっ」と笑われてしまう。本人が名乗るときに、抵抗がある。かっこつけることができない。それくらいの芸名で、いわば世間から「風圧」を受けることで、芸人としての芯が強く育つ。そんな考え方があるというのである。

これは、一般的にも参考になる考え方だろう。髪の毛の色については、世間はだいぶ自由な考え方になってきたように思うが、それでも、脱色したり、金髪にしたりしていると顔をしかめる方もいる。

つまり、世間にはいろいろな考え方があるわけで、金髪はちょっと、という方がいても当然だろう。私個人は、それぞれの人の自由でいいと思うが、そうでない社会があることも承知している。

だから、金髪で活躍している文化人や、アーティストは、それなりの風圧を受けているのだと見聞きする。それでも、仕事の中身で勝負、と思えるかどうか、自分というものを説得力のあるかたちで打ち出していくことができるかどうかで、評価が定まってくる。