アメリカには定年制が存在しない
アメリカには定年制がないことをご存知でしょうか。
日本では、ほとんどの会社が60歳を定年としていますが、これは1998年から、法律で定年を60歳以上にすることが義務付けられたためです。それまでは努力規定でしたので、55歳とか57歳という会社も多くありました。それが現在では、正社員のままの身分である必要はないものの、65歳まで継続的に雇用することが義務化されるようになっています。年金の満額支給される年齢が実質65歳ですので、国としては、できる限りそれまで企業で働いてもらいたいということです。
アメリカで定年がないのは、雇用に関して「年齢差別することは違法」という考え方があるためです。そのため、60歳になったからという理由で退職させる定年制という考え方自体がそぐわないというのです。同様に、男女による差別、人種による差別、宗教・信条による差別などについても、厳しく禁じられています。なにせ多種多様な民族が生活する「自由と平等の国」ですので、条件の違いによる不自由・不平等を徹底的に排除するのです。
一方で、社員を解雇することについては、日本よりもやりやすいという実態があります。「会社が儲からなくなったから」というだけでなく、「その人が給料に見合った仕事はできなくなったから」「その人の担当していた業務をアウトソーシングするようになったから」というように、社員ごとの理由で解雇されることもあります。「仕事ができないから」というのは、正当な理由。能力で差別するのは問題ないが、年齢で差別するのはケシカランというのです。
皆さんは、「年齢で差別される国」と「能力で差別される国」どちらがいいと思われるでしょうか。