──『人生はワンチャンス!』の中にある言葉、「身だしなみはひとなみ以上に」「昼がんばると夜たのしい」が個人的には心に刺さりました。このように共感を呼ぶ言葉を生み出せるのはやはり才能なのでしょうか。
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ベストセラーはこうしてつくられた!

【水野】僕は言葉を考えるのが苦手です。自分の才能も常に疑っています。だから、ひたすら考えるのです。一つの言葉をつくるために何十個も案を出しました。他の人のアイデアも参考にします。その中で、写真に一番合っていて、読んだ人に影響を与えられる「いい言葉」を選び抜きました。

ビンゴに例えると、3つの穴を効率よくあけるのではなく、すべてをあけていって気づいたらビンゴしていた!となるのが僕のやり方です。正解となる言葉はどこかにあると確信しています。疑う余地がなくなるまで言葉を出し尽くして、他人の意見も聞いたうえで、「これしかない」という言葉を採用するのです。

僕のように自分だけでは言葉を出しきれない人は、他の人からアイデアや意見をもらえる空気づくりも大切だと思います。95%までは頭がヘロヘロになるまで自分で考えたとしても、残りの5%は他の人が自分の知らない言葉を持っているかもしれないからです。

僕はアシスタントたちとのブレストでも書記は自分でやっています。弁当や菓子を買ってきて配ることもあります。先輩後輩の関係にありがちな「いじり」は一切やりません。むしろ僕がアシスタントたちからなめられるぐらいがいい。萎縮させずに自由に楽しくアイデアを出してもらうことが大事だと思っています。「最近の若者は打たれ弱い。もっと鍛えるべきだ」なんていう言説は、アイデア出しのためにはマイナスでしかありませんよ。

僕が本作りを好むのは、時間を捧げれば実力以上のものが出せるからです。即興での僕の実力は80だったとしても、みんなでアイデアを出しまくって推敲すれば20を積み増しして100にできる。しんどい作業ですが、読者に喜んでもらって褒められたい気持ちが勝ちますね。