女性総長・田中優子総長への期待

今年の難関私立大ランキングで躍進した私立校では、高校単独校の躍進が目立った。8位に入った朋優学院も近年、大きく伸びている高校単独校の一つだ。昨年は36人合格で113位だったが、今年は58人合格者が増えて大躍進となった。他にも早稲田大29人、上智大11人、青山学院大41人、立教大52人、中央大47人合格しているが、10年前はこの5大学に合格者はゼロだった。高校単独校の中には特待生制度を設けているところも多く、こういった生徒を中心に高い実績を残し始めている。塾関係者がこう話す。

「リーマンショック後の不況から、中学受験生が減っているため、高校受験に挑む生徒が増えていることも理由です。さらに、中高一貫校の中には高校募集を停止するところも多く選択肢が減っており、進学校を目指す高校単独校の人気が上がっています。生徒の中には一貫校の高校募集で入学すると、中学から来た生徒との学力差が気になることもあり、皆が同じスタートラインに立って始まる高校単独校のほうを好む傾向も見られます」

地域別の合格者の割合を見ると、1都3県からの合格者が68.4%を占めている。合格者の3人に2人が1都3県からの合格者ということになる。10年前のデータを見ると63.9%だったから、それほど大きな上昇幅ではないが、1都3県の合格者がさらに増えていることが分かる。内訳をみると、大きく増えたのが東京で25.1%から29%に、神奈川も13.4%から16.3%に上がっている。

この他に上がっている道府県は大阪だけで、44道府県で占有率は変わらないか、下回る結果となっている。埼玉、千葉の占有率が下がっていることを見ても、東京、神奈川に集中し始めているようだ。首都圏集中の傾向は、人気難関大共通のもの。ただ、全国から学生を募集したいとの考えも各大学で強い。これをどう改革していくか、この4月に就任した江戸文化の大家で、コメンテーターとしても活躍する、東京6大学初の女性総長の田中優子新総長への期待は大きい。

(宇佐見利明=撮影)
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