キャッチフレーズは「スーツを着ながらでも、世の中は変えられる」だが、「『スーツを着ているからこそ』と言い換えたほうがいいかもしれません。使える時間は限定的でも、仕事をしているからこそ貢献できること、学べることがある」と慎さんは力説する。「全員が会社を辞めて社会起業家になる必要はない。それぞれができる範囲で、できることをやったほうが話は早い。誰でもできる、自分にもできる――そう考えてもらいたいですね」。
取材で印象的だったのは、メンバーが生き生きとしていたこと。「仲間がいるから楽しいし、苦しいことも乗り越えられる」「みんなのレベルが高く、勉強になる」「ひとつの夢に向かってがんばる。そんな人とのつながりが気持ちいい」。実行委員の面々は、そう口を揃える。
同行した20代の女性編集者も大いに感化された様子。活動の社会的な意義と、志を同じくする仲間の存在――高度成長期の「プロジェクトX」のような価値観が彼らの胸を熱くしているのだ。
本業との相乗効果も収穫のひとつ。マイクロファイナンス金融機関が行う顧客に対するきめ細やかなモニタリングの仕組みなど、ここで得た知識やノウハウを本業に応用すべく、実際に動き始めたメンバーもいる。
慎さんが語る。「人間は一生懸命やれば伸びるもの。成長できるという意味で、会社にも、確実にいいフィードバックを与えていると思います」。
※すべて雑誌掲載当時
(川本聖哉=撮影)