口コミを頼りに商品やサービスを選ぶ人たちが増えている。飲食店の口コミサイト「食べログ」の場合、2010年11月度のアクセス件数はPC1923万人、モバイル504万人だった。重複を考えれば2000万人程度と思っていい。インターネット調査では定評のあるネットレイティングスのアンケートでも、宣伝媒体・情報ソースとしての信頼度は70%と高い。

宣伝媒体/情報ソース別の信頼度

宣伝媒体/情報ソース別の信頼度

ただ、飲食店や化粧品などとは異なり、冠婚葬祭はこれまで口コミサイトがそぐわない分野とされてきた。慶弔事に対するネガティブな書き込みがタブー視されてきたからだ。

しかし、その流れが変わりつつある。08年2月にオープンした「みんなのウェディング」には、10年10月までに6万件の口コミが寄せられた。

同社の飯尾慶介社長は「当サイトの掲載式場は450を超え、市場の10%に達した。不況で広告費が減ったこともあり、ここ半年でクライアントが口コミサイトの重要性を認識するようになった」と話す。式場側からも「書き込みに対して真摯に対応するようになってから、サイトを見て来場した人の成約率が高まった」という声があるという。

口コミサイトの利用者が増えることにより、企業と消費者が対等の関係になりつつある。みんなのウェディングでも、サイトを消費者と式場が情報を交換する“プラットホーム”と位置付けており、将来的には出産などにも分野を広げたいという。今後さらにサイトが盛り上がれば、消費者の口コミは無視できなくなる。企業の取り組みにも影響を与えていくだろう。

(ライヴ・アート=図版作成)