ユニクロをどう読むか

では、1社のスキャンダル報道によって相場全体にも影響を与えるのだろうか。06年に起きた“ライブドア・ショック”は、粉飾決算が発覚したライブドア(のちに上場廃止)が株式市場の暴落を招いた。当時注目を集めていた企業の不祥事が連日大きく報道されたことにより、投資家マインドを著しく冷やした典型的な事例であった。しかし、基本的には一社のスキャンダル報道が相場全体に与える影響は極めて限定的で、その銘柄もしくは同セクターへの影響に留まることが多い。日経平均やTOPIXといった指数は多くの銘柄で構成されているためだ。ただし、ファーストリテイリングやソフトバンクのように日経平均への寄与度が高い銘柄の場合は、一社の暴落が指数の下落につながるため注意が必要となる。

ネガティブ報道を逆手にとるには、その内容をよく理解し一時的なパニック売りであるのか、長期的な下落要因となるのかを見極めることが大事だ。短期的には売られたとしても、業績に大きな影響がないと判断する投資家が多ければ意外と早く買い直しの流れに変わる場合もある。そのトレンド転換を見逃さないよう心掛けたい。売りで仕掛けていたポジションはいいタイミングで反対売買をしなければ満足する利益は得られないのだ。

信用の回復まで時間を要し業績への影響が大きい場合は、なかなか下げ止まらずに驚くような安値になることもある。しかし、上場廃止にならない限り、株価はどこかで必ず底を打つ。大切なのは「下落途中につかむな!」ということだ。一番の安値で買おうとせずに、明確に底値を打ち安心感が生まれてから買い直すべきだろう。

最後に、株式投資にはリスクがつきものだということを投資家は常に意識しておかなければならない。自分の予想とは異なる値動きになった場合は早めに手仕舞いすることが重要だ。

(溝上憲文=構成 大沢尚芳=撮影)
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