また、「戦略目的の一致する事業者同士の提携を通じて、国際競争力のあるエネルギーを供給できる基盤を構築していく」とする中部電は大ガスと米国のシェールガス生産プロジェクトへ共同参画したり、「三重-滋賀ライン」の導管を共同で敷設するなど親密な関係にある。このため包括提携に大ガスも加わって“一大エネルギー連合”を組む絵図面を描く向きも少なくない。

電力・ガス以外の企業も全面自由化にビジネスチャンスを見いだしている。

石油元売り大手のJX日鉱日石エネルギーは青森・八戸に海外で買い付けたLNGを受け入れるターミナルを建設中で、来年4月に稼働を開始。東北電力の八戸火力発電所への販売が決定済み。今後は東北地方の都市ガス会社・産業用需要家などへの拡販を目指す。

「強力な競合先があまりいない“空白地帯”で有望な市場だ」と権田昌二ガス事業部長はいう。また、資源開発大手の国際石油開発帝石は昨年末に新設した新潟・直江津のLNGターミナルから、東京までつながる自社導管網を活用し、南下しながら同じ空白地帯である沿線での需要を開拓していく。

料金やサービスの見直しに必要なシステム関係も活況で、アクセンチュア素材・エネルギー本部の竹井理文マネジング・ディレクターは「すでにシステムエンジニアが不足気味だ」と話す。同社がパートナーとして昨年9月に富山の日本海ガスへ納入した日本オラクルの料金パッケージシステムが稼働するなど、実績も出始めている。

(宇佐見利明、加々美義人=撮影 PIXTA=写真)
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