電力各社が値上げを実施・予定している。

消費者には嬉しくないニュースだが、今回の値上げは厳しい経営の続く電力会社を救うのか。結論から言えば、ほとんど影響しない。このことを理解するために、電力の値上げには2つの種類があることを押さえておきたい。

1つは、燃料費調整制度による値上げである。原油、LNG、石炭の貿易統計価格にもとづき、電気料金を自動的に調整する制度で、今回の値上げもこれに該当する。原油、LNG、石炭とも、ドル建てで輸入しているため、当然、為替レートの影響を受ける。円安が進むと、輸入価格が上昇し、結果、電気料金に反映されることになる。燃料価格の上昇は電力各社にとってコストアップ要因となるが、価格上昇の4カ月後には電力料金に反映されるため、利益ベースでは影響は出ない。

もう1つは、いわゆる「改定値上げ」である。昨年9月に東京電力、今年5月に関西電力と九州電力が発表した値上げは、これに該当する。背景にあるのは稼働停止中の原発だ。 2013年3月期の決算では、原発を持たない沖縄電力と、原発依存度が比較的低い北陸電力を除く8社が赤字に陥った。7月現在、北海道電力、東北電力、中国電力の3社も値上げを申請している。

では、電力各社が経営改善するには何が必要なのか。方法は3つある。

1つは原発再稼働である。実現すれば、経営改善へのインパクトは甚大だが、そのためには政治判断が必要なことは言うまでもない。

2つ目は、改定値上げ。原発再稼働が長引けば、すでに値上げを行っている各社もさらなる値上げを検討せざるをえなくなるだろう。

3つ目は、固定費の削減だ。政治判断を待たずに企業努力で行うことができる一方、原発依存度が高い企業にとって、人件費や修繕費の削減だけで黒字化することは難しいだろう。

これまで述べてきたように、電力各社の経営は原発の動向にかかっている。先頃、米国産シェールガスの輸出解禁が発表されたが、日本へ入るのは17年から。中長期的には産ガス国との交渉の大きな武器となり、輸入価格の下落を期待できるが、電力会社にとって厳しい状況はしばらく続きそうだ。

(構成=プレジデント編集部)