私の仕事は生活を観察し、人が共有する「暗黙知」を探し、かたちにしていくことです。人がモノを使うとき、ほとんどの場合は無意識です。例えば冷蔵庫の一番下の引き出しを閉めるとき、手ではなく、足を使う人も多いと思います。これも自己の経験観察から見出した事実です。無印良品の冷蔵庫のハンドルは細く、金属の線材を曲げただけであるかのような単純な形をしています。人はハンドルを形で認識するよりも前にすでにそのハンドルらしき線材を握っているのです。

このような着想は、人の行為は無意識下で最も自然に行われる、という概念からくるものです。デザイナーが考えていることは人とモノと環境の自然な関係を読み取ることなのです。

モデルチェンジで売り上げ昨年比376%!

2014年3月、従来の冷蔵庫からモデルチェンジした現行品の発売を開始。発売1カ月で昨年半期の売り上げを達成。半期売上累計では昨年比376%、計画比148%の実績を挙げた。355Lの4ドア(白、ステンレス仕上げ)と270Lの3ドア(白)を発売。

深澤 直人(プロダクトデザイナー)
1956年、山梨県生まれ。89年に渡米、IDEO入社。96年IDEOジャパン設立。2003年Naoto Fukasawa Design設立。代表作に無印良品「壁掛式CDプレーヤー」、家電雑貨ブランド「±0」など。無印良品アドバイザリーボード、グッドデザイン賞審査委員長、日本民藝館館長、多摩美術大学教授。
(構成=矢倉比呂 撮影=佐藤新也)
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