少なくとも3分の1のシェアを狙う

このように苦労の連続だったホンダの航空機ビジネスが、研究開発に着手してから30年目の15年、ようやく飛び立つことになった。

ホンダがつくり上げた小型ビジネス機「ホンダジェット」。(ホンダ=写真提供)

すでに量産化に着手しているホンダジェットは、15年の1月~3月に米連邦航空局(FAA)の型式認定を取得する見込みであり、その後直ちに納入を始める。同機の受注は100機以上で、北米が65%、欧州が35%程度だという。

売るのは飛行機だけではない。ホンダジェットに搭載する小型ジェットエンジン「HF120」の販売も行う。同エンジンは米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同開発したもので、13年末にFAAの型式認証を取得した。

独自の高圧コンプレッサー技術などにより燃費性能は同クラスのライバル社製よりも10%程度、また小型軽量の尺度である推力重量比も約20%優れているそうだ。すでに米シエラインダストリーズ社の中古機体のエンジンに載せ替える計画である。

昨年のビジネスジェット機市場規模は、小型から大型までの機体数で700機弱、うちホンダが狙いを定める超小型機(5~15席)の市場は約200機。ただ、これはリーマンショックによって落ち込んでいるためで、今後反転に向かうとホンダは見ており、2020年には300~400機に拡大すると予想している。

現在、その市場向けのエンジンを米プラット・アンド・ホイットニーとウィリアムズ・インターナショナルの2社が分け合っている。「将来的には少なくとも3分の1のシェアを取りたい」と本田技術研究所の藁谷篤邦取締役は話し、燃費や性能などを考えれば十分勝算があると考えている。