毒ぬきだから安心か?

当時(98年)、保さんは錦江湾で河豚の養殖事業を展開中であった。ホテルで出された河豚会席も、その産物というわけだが、養殖した河豚は国内だけでなく、ニューヨークなどへも輸出していた。その際、鹿児島からではなく、いったん、下関を経由させなくては、

「河豚としての値がつかないんですよ」

と、眉をひそめられたものだ。わが郷里も河豚の産地であるが、釣り上げたトラフグは下関の南風泊(はえどまり)漁港へ水揚げされる。まさに、そうしないと流通しない仕組みがあるようで、素人の私にはこれまたよく理解できない。

ところで、養殖河豚には毒がない、などと言われる。テトロドトキシンは食餌のメカニズムが関係しているとかで、近年、愛媛や栃木の内陸で養殖されている河豚には毒がないのかもしれないが、確かめてみる勇気はない。

ビールに関して、最近ではプリン体ゼロ、というものが出回っている。素人の私にはよく理解できないのであるが、麦芽を使う以上、そこからナノレベルの細胞核であるプリン体を除去するというのは、そう簡単ではないと思われる。

芋焼酎をはじめとして、蒸留酒はプリン体ゼロである。これは痛風もちならだれでも知っている基礎知識で、それを言い訳にして、焼酎、ウィスキーに食指をのばすのであるが、むろん、高尿酸血症に関与しているのはアルコールであり、それに含まれるプリン体はたとえゼロでも、発作につながるのだ。

なにがなんでも痛風を治そう、というのであれば、アルコール類はいっさい断ち、プリン体を多く含む食品は口にせず、低カロリーの、早い話が、牛馬のごとく草ばかりむさぼっていればよろしい。

ああ、哀れにも、それができない酔いどれオヤジは、日々、適当にカロリー計算なんぞはじきつつ、「週末だけだから」と自分にいいきかせ、たまにコルヒチンの薬効を頼りに、今日も今日とて酒を呑む――。

(佐久間奏=イラストレーション)
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